赤サフラン:世界一貴重なスパイス
10月の中ごろ、西マケドニア、コザニの町の南部で、ポリフォト湖にまで伸びる谷の中の野原はその色を変えます。オレンジから紫に変化する花の海が、谷を紫の強い色調の花畑に変えるのです。サフランの花が咲くときです。花が咲くと住民達が動員されて、花を一つ一つ手で摘まなければなりません。この紫の花は、重さにしたら金と同じ値打ちがあるのです。花の構造の真ん中にある3本の赤い糸は柱頭と呼びますが、ひとたび乾燥されると最高品質のサフランとなるのです。この花は6枚の紫色の花びらを持っています。その中心部には3本の赤い糸と、別の3本の黄色い糸とがあります。赤いものはより長く、それがサフランとなるのです。
クロッカスの花とは?
サフラン・クロッカスは短草型植物で、10〜15センチほどの高さに成長し、柔らかい緑の葉を持ちます。葉や花は多年生の球根から育ちます。しかしコザニ地方のクロッカス栽培農家は9年ごとに入れ替えをして、植物の力が枯渇してしまわないようにします。
最高級サフランがとれる栽培品種クロッカス・サティブス・エルはどんな土壌でも育つわけではありません。17世紀に組織的な栽培が始まって以来、コザニ地方はその理想的な生育環境があることが分かり、世界一の品質のサフランを産することができるようになりました。世界中でサフラン栽培ができる地域はごくわずかです(例えばイベリア半島)。しかしその芳香に関して並ぶもののないコザニ・サフランの品質は国際的に評価されてきました。この理想的な立地で、今日では1万平方キロほどのサフラン・クロッカス栽培に使われ、年に7〜8トンのサフランがとれます。栽培方法は完全に有機的です。肥料は使用されず、土壌の特性が元に戻るよう9年ごとに1年、畑は休耕とされます。
ギリシャ神話の中から……
ギリシャ神話ではクロッカスはハンサムな若い男で、ヘルメス神の友達だった。あるとき二人の友人同士が遊んでいるとき、ヘルメスはクロッカスの頭を傷つけてしまった。傷から3滴の血が花に滴り落ち、クロッカスからその名をとった植物の花、あるいはその柱頭に姿を変えたいのである。オビディウスによれば、この食物の名は若い男から取ったのだが、彼は若いサルトリイバラが死ぬのを見て絶望し、今日サフランとして市場で知られているこの花に姿を変えたという。
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