今回の出来事は少し特別なものでした。

ドメイン パパヤナコスより、コマーシャルディレクターのステファノスさんが初めて日本を訪れたのです。

パパヤナコスとは、もう20年来のお付き合いがあります。 それでも、日本に彼らが来るのは今回が初めてでした。
そのことに、どこか時間の流れを感じながら、いくつかのイベントを開催しました。

出会いは約20年前にさかのぼります。

ノスティミア設立当初、父は車でギリシャ各地を回り、日本へ輸入する商品を探していました。
その中で出会ったのが、ドメイン パパヤナコス三代目のヴァシリス・パパヤナコスさんです。
当時、彼は父のことを相当な変人だと思ったそうです。
それも無理はありません。
当時、日本にギリシャのワインや食材を輸入している会社はほんのわずか。
さらにそれをギリシャ人が行うというのは、とても珍しいことでした。
それでも、父の想いに何かを感じ取ってくれたヴァシリスさんは、まだ何も確証のない段階でワインを託してくれました。

その流れの中で、2018年にパパヤナコスに加わったのがステファノスさんです。 アメリカ、フランス、そしてサントリーニ島で、約40年にわたりワインに携わってきた人物です。

今回の来日では、彼が長年向き合ってきたサヴァティアノという品種について、その魅力を丁寧に伝えてくれました。

パパヤナコスが位置するのは、アテネ空港から車で20分ほどのアッティカという産地。
ギリシャ神話では、ワインの神ディオニソスがこの地の人々にブドウ栽培とワイン醸造を教えたと伝えられています。 約4000年という長い時間の中で、この土地に根付き続けてきたのがサヴァティアノという品種です。 株仕立てで低く育てられたその樹は、今も昔もほとんど形を変えていません。 葉が果実を強い日差しから守り、さらに15メートルほどの深さまで根を張ることで、この土地の環境に適応しています。

ステファノスさんは言います。
「私たちにとって若い樹とは、樹齢50〜60年のことです」

実際に彼らの畑には、100年、さらには200年を超える古木も存在しています。
長い時間をかけて生きてきた樹からは、収量は少ないものの、凝縮したブドウが生まれます。

アッティカはギリシャの中でも特に暑く乾燥した地域です。 しかし、山と海に囲まれた地形によって、年間を通して北風が吹き、海からは霧とともに水分がもたらされます。 その結果、酸を保ちながら、凝縮感のあるブドウが育つ環境が生まれています。

ここまで聞くと、少し専門的に感じるかもしれません。
けれど、ステファノスさんは最後に、こう話していました。

「私たちは最も優れたワインを造っているとは言いません。
ですが、私たちのワインには、私たちのハート、精神、魂が込められているのです」

とてもシンプルで、でも印象に残る言葉でした。
ワインはやっぱり人なんだと、改めて感じました。
そして同時に、パパヤナコスのワインを扱っていることを、あらためて誇りに思いました。

もしアテネを訪れる機会があれば、ぜひドメイン パパヤナコスを訪れてみてください。
きっとステファノスさんが、あたたかく迎えてくれると思います。